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 愛の対義語
「形式」の対義語が「内容」であるように、「愛」の対義語は「無関心」である。

とすれば、「愛する」行為には、最低限「関心をもつ」ことが含まれる。
愛することが人の本能であるなら、人は他人に関心をもつために生まれてきたのだといえる。ひきこもりや殺人者も、外界との接触を拒んでいる訳ではない。ひきこもりは親を「拒絶する」ことで関係を保っているし、殺人者は、相手を「殺して」いるのである。
 完全に愛を退けるには、人に対して完全に無関心でいる必要がある。ぼくは人に無関心だ、と心に思った時点で、無関心ではない。出生後、すぐに山に捨てられるでもしなければ、愛を完全に拒むことはできないだろう。


| 23:30 | - | comments(0) | - |
 戦場の不文律
 三崎の右手が金髪の鼻先をかする。正確には、三崎がかすらせた。鼻骨を折る努力は最小限に抑え、相手の恐怖を最大限に引き出す。相手が痛みに気付くまでの間に三崎は口を歪めて目を細めた。時間差で金髪が顔を歪める。今までに感じたことのない痛みなのだろう、曲がった鼻に手を触れた瞬間、金髪はその場に腰を落として声にならない悲鳴を上げた。
 三崎の視線はすでに次のターゲットをとらえていた。金髪の悲鳴は三崎の耳に届かない。
 怒鳴り声を上げながらリーゼントが突っ込んでくる。大振りで振り下ろされてくる右拳を左手で受け流し、最小の動線で抜手をみぞおちへ入れる。柔らかな筋肉の隙間に鈍い外圧がかかる。
一瞬の嗚咽のあと前かがみに崩れ落ちたリーゼントは、腹をおさえて地面に転がると、ぴくぴくと痙攣し始めていた。
 三崎はスーツについた埃を払うように、右手の甲を撫で、一呼吸おいてスーツの襟をつまんで正した。倉庫の屋根を見上げて、痛みで立ち上がれない彼ら。三崎は声を張り上げた。芝居がかった台詞が地面に沿ってうなされる青年らの耳に届く。
「おお、チンピラよ、死んでしまうとは情けない!」
 三崎は倉庫唯一の出入り口へと向かいながら、深呼吸するように両手を左右に広げ、歌い上げるように叫ぶ。開いている出入り口から、倉庫に面している道路の街灯が力弱く周辺を照らしている。
「今一度、チャンスを与える、魔王三崎を倒してくるのだ!」
 三崎は出入り口の扉の取っ手に手を掛けた。
 金髪が情けない顔をこちらに向けているのを三崎は背中で感じた。
 打撃で腫れあがった息子の頬や内出血で青黒く染まった背中や腹を思い返しながら、その重い扉を勢いよく閉じると、地響きのような轟音が倉庫内に走った。ゆっくりと、新たな静寂が倉庫内を浸食する。外部から切り取られた倉庫の空気に、彼らも少しは勘づいたか? と、三崎は話しだすタイミングを計る。本番はこれからだ。これからがお前らの……。
 三崎の後ろで地面を這う音が遠ざかっていく。リーゼントが理解したようだ。少し遅れて金髪の気配も急いで遠ざかっていく。彼もやっと、事態を把握できたようだ。
 ――バラモス役は、息子からおれが引き継いだ。
 三崎は高らかに謳った。
 「さあ、勇者たちよ! 死ぬまでバラモスに立ち向かうのだ!」
 満を持して倉庫内を振り返ると、金髪とリーゼントが、懇願するように、許しを請うように、こちらを見ていた。
 理由にならないよ、と、三崎は胸の前で両の拳を叩き合わせ、彼らに向かってゆっくりと歩き出した。


| 23:55 | 日記 | comments(0) | - |
 客観的事実をつなぐことで真実はみえてくる
 東京は気持ちいい秋晴れ、空が高く最高気温23℃と快適な気候。米を磨ぐ水が少し冷たい。

 相撲界で八百長の有無が騒がれている。北の湖と貴乃花の一番と、貴花田の優勝をかけた一番が八百長だったと明かした人がいるらしい。何を意図して明かしたのかにも少しだけ興味がある。それ以上に、八百長があったのかなかったのかを証明する手段に興味がある。
 マスメディアは当然のように当事者に体当たり猪突猛進を繰り返している。効率的な手段とは思えない。私が当事者だったら、そんな人たちに重要な話をしたとは思わない。突撃取材のような場面しかテレビで報道されないが、メールやファクス、その他の手段で正規の手続きを踏んで面談交渉をしているマスコミはないのだろうか。世間一般の人たちの多くの目には、取材に応じない人たちが悪い印象で受け止められているとおもうのだが、あのような突撃取材ならば、そもそも答える義務はないのだ。あれはマスコミが人を壇上から引きずり下ろす手段のひとつだ。本人らもそれらが正しい取材だと思ってやっているから手に負えない。
 突撃取材の批判は置いておいて、八百長の有無をどうやって証明するかを考える。「あなたは八百長をしたんですか?」という問いは意味がない。回答を信頼できないからだ。客観的事実を追う必要がある。
 北の湖と貴乃花の一戦では、「星の手当」として400万円が北の湖に支払われた、らしい。そもそも、藤田氏の証言(らしい)に出てくる「星の手当」の定義がどこにも述べられていない。あやふやな言葉が出てきたら、定義を確認しなければ話しにならない。とりあえず、「星の手当」を「勝ち星を故意に譲ってくれた相手への報奨金」ととらえて、話しをすすめる。
 400万円が本当に用意されたのかをまずは確かめる。預金通帳などを見れば明らかだ。裁判所が命令して銀行に資料を用意させてもいい。400万円の出金があきらかになれば、その使途を問う。よく分からない回答が返ってくれば、社会的には証明終了だ。数十年前の400万だ。使い道を忘れるはずがない。
 しかし問題なのは、これらの情報の受信者側だ。あやふやな情報は、記憶から消えやすい。八百長をしたかどうかについて鮮明な回答がないと、例えば本人が涙ながらに謝罪するとか、八百長の密約を交わしているテープレコーダーが見つかったとかがないと、人の記憶には残りづらい。政治家があ強引にあやふやな回答をするのもそのためだ。だから、あやふやな回答がされた時点で暫定的な結論を出しておく必要がある。今回の場合、北の湖が「故意による無気力試合」の意味を説明した時点で終わった。「病気やけがにより気の抜けた試合をしてはだめだぞ」ということらしい。それを言うなら「病気やけがによる無気力試合」である。「故意による」という枕詞は発想されないはずだ。
 矛盾点を合理的に突き詰めていけば、結論はより明確になる。
 現在の”真面目な”報道は、ドッキリ番組や近頃のお笑いに似ている。当事者の慌てているところに、突然押し掛け、まともに答えられない当事者を映すことで視聴率を稼ぐ。卑下た優越感を視聴者に与える。見ていて不快になる。

| 07:53 | - | comments(0) | - |
 「発言の公共性」
 以前にここで、「羊水発言」へのマスコミや世間の反応を書いた。ラジオで「羊水が腐る」と口にした歌手をマスコミがバッシングし、テレビでの謝罪会見にまで追い込んだ事件だ。
 一連のマスコミの反応について、やりすぎだと私は述べた。あるブログで、取り上げている問題は違うが、とても分かりやすく書かれた意見があった。

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/index.php

ここの2008年10月12日の記事を読んでいただくと、何が問題なのかがよくわかる。
大変分かりやすく、しかも感情的でない。わたしは意見を述べるときにすぐ感情的になってしまうので、気をつけたい。


| 16:29 | - | comments(0) | - |
 市場雑感
日経平均とダウ平均の乱高下は歴史的なことなのだろうけど、あまりにも日常化しすぎて、1000ドル、1000円の上り下がりに驚かなくなってしまった。
 金曜に株を大量に買い込んだ人、今日は年収くらいのキャピタルゲインが上がっているんだろうなあ!

| 09:50 | - | comments(0) | - |
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